Introduction

近年、急速に進展するキャッシュレス社会。それを牽引しているツールの一つが、人々の生活の中心になったスマートフォンだ。オンライン、オフラインでの消費生活をはじめ、預金、ローン、投資、保険等のあらゆる金融サービスが、スマートフォン中心になりつつある。そうした中、KDDIはスマートフォンを通じて、お客さまに「スマホ・セントリック」な決済・金融体験を総合的に提供するために、KDDI100%出資の持ち株会社として、2019年4月、auフィナンシャルホールディングスを設立した。以来、auフィナンシャルグループの業績は着実に拡大しており、2023年3月時点で、auじぶん銀行の口座数は500万口座を突破、auフィナンシャルサービスのクレジットカード会員は850万を超え、auPAYコード決済の利用も1兆円を超えている。決済・金融取扱高は14兆円となり、2019年度の2倍の規模に達した。次世代金融サービスの創造に向けた同社の取り組みとその展望、そして求める人材像を、代表取締役社長の勝木朋彦が語った。

サステナビリティ経営を
根幹に置いた
事業戦略と
経営基盤の強化。
5Gを中核に据えた
「サテライトグロース戦略」で成長を加速。

KDDIグループは、2030年を見据え、「5Gを中核に据えた事業変革」の取り組みを開始しました。「KDDI VISION 2030」で掲げたのは、「つなぐ力を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる」。長期的視点で、サステナビリティ経営を根幹に置いた事業戦略と、それを支える経営基盤の強化を推進しています。これら取り組みにより、パートナーのみなさまとともに、社会の持続的成長と企業価値の向上、そして社会の発展が次の私たちの事業に活かされ、再び社会に還元される好循環を目指していきます。
その実現に向けて、中期経営戦略(2022~2024年)では、本格化を迎える5Gをセンターに置き、通信事業の進化と通信を核とした注力領域を拡大する「サテライトグロース戦略」による事業成長を目指しています。注力領域は「DX (Digital Transformation)」「金融」「エネルギー」「LX (Life Transformation)」「地域共創 (CATV等)」の5つ。通信を核としてシナジーを発揮することで新たな領域の成長を加速します。金融事業においては、スマートフォンを起点に、金融のあり方を手の平から変え、すべての人にとって金融をもっと身近なものにする「つながる金融。」を実現するのが、私たちのミッションと考えています。私たちがつなぐのは「信用」です。信用という経営資源をつないで、お客さまの暮らしをより豊かに支えていきます。

多彩な金融サービスを
提供する
総合金融グループへ。
プロフェッショナル化によるシナジー最大化と
商品力の向上。

金融サービスにおいては、2008年に「じぶん銀行」(銀行業)を設立し、モバイルに特化したインターネットバンキングをいち早く開始しました。その後2011年には「ウェブマネー」(電子マネー発行業、現 au ペイメント)を完全子会社化し、2014年からauIDを軸に、ネットとリアルを融合する「au WALLET構想」を始動。同じく2014年に「KDDIフィナンシャルサービス」(包括信用購入斡旋業)、2016年に「KDDI Reinsurance」(再保険業)、2018 年に「KDDI アセットマネジメント」(投資運用会社)を設立するなど、金融サービスを拡充してきました。
この間、金融・決済をめぐる時代環境は大きく変化しつつあります。生活のあらゆるシーンにインターネットが浸透することと並行して、スマートフォンが生活の中心になりました。金融・決済の世界でも、スマートフォン等の利用によるキャッシュレス化は不可逆的な流れと言えます。こうした大きな変化に対応し、「スマホ・セントリック」な次世代金融サービスの創造を目指し、金融持株会社として、2019年にauフィナンシャルホールディングスは設立され、KDDI の金融事業はすべてauフィナンシャルホールディングスがオーナーシップを持つことになりました。当社傘下となった金融サービス各社は、auブランドを冠した名称に統一。プロフェッショナル集団として意思決定を迅速化しガバナンスを強化することで、シナジー最大化と商品力の向上を目指します。

新たな金融DXの潮流
「エンデベットファイナンス」
を拡大。
「デジタルメガバンク」として
個人向け金融市場で
プレゼンスを発揮。

auフィナンシャルグループの成長の原動力は、「通信×金融」の両利きのビジネスモデルを有している点にあります。KDDIが獲得する金融IDや銀行口座、auPAYの拡大によって、預金やチャージ残高を増やすとともに、リテンション(既存顧客との関係維持)効果も高くなる構造を目指します。auフィナンシャルグループはエンデベットファイナンスの拡大によって、既存サービスである住宅ローンやカードローンに加え、今後は様々なローン商品の拡充にも取り組んでいく考えです。エンデベットファイナンスは新たな金融 DXの潮流の一つになり得ると注目されているもので、非金融事業者が自らのサービスに金融サービスを埋め込んで提供するものです。
そして、auフィナンシャルグループが目指すのは、幅広い個人向けデジタル金融市場における新たな金融の担い手です。通信で培ったお客さまとのエンゲージメントをベースに、お客さまからの信用を源泉に、与信への仲介機能をしっかりと果たして、収益基盤を着実に築き、プレゼンスを発揮していく考えです。

めざす姿は
スマホ・セントリックな
次世代金融サービスの創造

個人向け金融市場、すなわちマス・リテールマーケットを対象とした、次世代金融サービスを提供できる企業は限られています。なぜなら、事業推進のためには圧倒的な数の顧客基盤が必要だからです。現在、当社同様に次世代金融サービスの創造を目指している企業も、通信事業や e-コマース事業などのコア事業にケイパビリティがあり、消費者との接触頻度が高く、生活に密着した企業です。
私たちは、拡大するキャッシュレス決済「au PAY」と共通ポイントプログラム「Ponta」を中心とした KDDI エコシステムとの連携強化、ならびに金融各社間のグループ連携を加速することで、今後も多くのお客さまに「スマホ・セントリック」な次世代金融サービスを創造していきます。また、資産規模によらないすべての人にデジタルの金融サービスを提供すること、「デジタル・ファイナンシャル・インクルージョン」を実現し、ありたい姿をめざします。そのためには、事業効率を最大化することでよりおトクで便利な金融・決済サービスをお客さまに提供していくことが求められており、それが私たちの挑戦であり、存在価値でもあると考えています。

新しい道を切り拓き、
次世代金融サービスの
担い手となる意欲。
「インテグリティ」の高い人と
共に新たな金融サービスを。

業容が拡大していく中で、今、必要とされているのが人材の確保です。次世代金融サービスを創造していくビジネスに参加したい、次世代金融サービスを担いたいと思う人は、是非当社にアプローチしてもらいたいと思っています。私たちが創出し拡大浸透を目指す、マス・リテールマーケットの金融サービスは、誰かが作った整備された道を歩くわけではありません。新たな道を切り拓いていく世界です。道なき道を歩き、新しいことに挑戦したいという意欲を持った人に期待しています。金融業務のキャリアや知見を持っていることはプラスではありますが、それは必須の条件ではありません。経験で身に付いた、既存の枠組み・概念がマイナスに働くこともあるかもしれません。金融業界でのキャリアにとらわれず、広く「人」としての資質を評価したいと考えています。
その一つのキーワードが「インテグリティの高い人」です。「インテグリティ」とは、「誠実」や「真摯」、「高潔」といった概念を指す言葉ですが、法令遵守や社会的責任の遂行、公明正大で倫理的な行動に取り組んでいく姿勢であり、「インテグリティの高い人」は、私が求める人材像の重要な要素です。そうした人たちと共に、大多数の消費者に向けて、便利で快適な、新しい金融サービスの提供を担っていきたいと考えています。意欲ある方々の、たくさんの応募をお待ちしています。そして、共に働ける日を楽しみにしています。

代表取締役社長 勝木  朋彦

代表取締役社長 勝木 朋彦